食べる米で、酒を造る。
日本酒は米から造られます。
それなのに、なぜ酒を造る米と、私たちが毎日食べている米は分かれているのでしょうか。
新潟で地域資源を使った商品づくりを続けてきた樺沢敦は、米屋の覺張雄介、発酵研究者の長井隆とともに、魚沼産コシヒカリで酒を造り始めます。
炊けばご飯になる米を、ほとんど削らずに醸す。
コシヒカリから始まり、玄米での醸造、そして農家ごとの米を酒にする取り組みへ。
実際に造ってみると、「食べる米では酒が造れない」わけではありませんでした。では、なぜ日本酒は酒米を使い、米を磨いて造るようになったのか。なぜ飯米による酒造りは一般的ではなかったのか。
酒米の歴史、精米歩合、酒蔵と農家の関係、日本酒市場の変化。一本の酒を造ることから始まった試みは、日本酒と米を取り巻く仕組みそのものを考えることにつながっていきます。
本書では、食べるために育てた米を、食べるときと同じ姿に近いまま醸す酒造りを「飯米醸造」と呼びます。
酒になる米に、ひとつの正解はない。
日本には、田んぼの数だけ酒の可能性があります。